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つぎにマーケティングの役割について述べてみたいと思います。顧客ニーズを充足するような製品、サービスの提供を通じて、市場に働きかけたり、市場を動かすといった活動がマーケティング、一言で言えば企業がマーケットに向けて行う活動をマーケティングというわけですね。新しい市場とか需要を作り出していくのがマーケティングの役割ですが、その例をいくつか見ていきたいと思います。
ホンダのファミリーバイク市場の創造があります。1976年にホンダは「ロードパル」という原動機付き自転車を発売しました。それまでの「スーパーカブ」のような実用的な50ccバイクとは違う、もっと操縦性が高く、お洒落で軽くて、燃費も良い新しいバイクを売り出せば、これまで自転車や、バス、電車といった公共交通を利用していた人たちが買ってくれるのではないかという狙いで開発したのが、「ロードパル」だったわけです。これによってそれまでは存在しなかった「ファミリーバイク」という新しい市場が生まれ、翌年ヤマハが「パッソル」という製品を売り出し、市場として立ち上がりました。女性が軽自動車に乗るようになって、現在はだいぶ小さくなりましたが、ピーク時には年間250万台という大きな市場が生まれたんです。
1979年にはソニーが「ウォークマン」でヘッドフォン市場を創り出していきます。この商品の画期的なところは、いつでもどこでも好きな時に、しかも個人的に音楽が聴けるという革新的な商品だったという点です。せいぜいラジカセくらいしかなかったですから、「ウォークマン」の登場はそれまでの音楽の聴き方を一変させてしまいました。またこの翌年にはTOTOから「ウォシュレット」が温水洗浄便座市場を、1983年には任天堂の「ファミリーコンピュータ」による家庭ゲーム機市場、1995年、東芝、ソニー、フィリップなどによるDVD市場など、いずれもそれまでには存在しなかった新しい市場が出現しています。
このようにマーケティングの一つ目の重要な役割というのは、それまでの潜在的な顧客のニーズを満たす製品・サービスで新しい市場を創出することにあります。
もう一つのマーケティングの役割は、ライバル他社に対する競争優位の確立です。ある商品を出したとしても類似商品がどんどん出てきてやられてしまうということがあるのですが、マーケティングというのは、開発した商品やサービスが競争力を持つような仕組みを作るというのが二つ目の役割なんです。
たとえばソニーなどは、「トランジスタ」に始まり、「トリニトロン」、さきほどの「ウォークマン」「ミニディスク」など新しい市場を作りあげてきた製品開発力が、その競争力優位の要因です。ソニーの競争力のもう一つはブランド力ですね。家電量販店などで値引率はソニーが一番低い。ブランド力が強いと価格競争に巻き込まれなくて済むんです。
マクドナルドの場合は圧倒的な価格競争力です。グローバル企業ですから世界各地からその時々の最適な原材料を仕入れることができ、他の企業が容易に真似できない低価格で製品を提供できるんです。日本のセブンイレブンの持っている単品商品管理力、POSシステムによる在庫管理力も、在庫が極端に少なくなってその変わり多頻度で商品を店頭に持ってくることが出来るわけで、これが同じようにセブンイレブンの競争優位を生み出している要因となっています。
といったように、新商品やサービスを売り出す時に、どのようにしてライバル他社に対して競争力を保ち続けるか、という課題に応える役割を担っているのもマーケティングであるということが言えると思います。
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