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イベントログ

2003年 第5回ビジネス交流会セミナー

お金を掛けない市場調査
 マーケティングを考えるプロセスをやや抽象的に述べてきましたが、ここからもっと具体的な「マーケティング」のコツについて話していきます。
 まず環境分析ですが、簡単に言えば「市場調査」です。意外とこの「市場調査」をしていないことが多いんですよね。 「マーケティング」にお金を掛け過ぎているか、掛けなさ過ぎているかどっちかで、掛けなさ過ぎの場合、たいていはこの「市場調査」をしなくてはならない時にしていない例が非常に多い。つまり自分の思い込みのみでスタートすることがすごく多いんです。ついこの前もご相談受けたんですが、その一つはある企業の事業部で、大学の先生のニーズを受けてある商品を作ったんです。その先生が「これは素晴らしい。マス商品化してぱっと売ったらどうだ」と言ったものですから、体制を整え大々的に売り出してみたんですが、ぜんぜん売れない。よくよく考えてみたら、その先生にはぴったりのニーズだったんですが、そんな特殊なニーズはいっぱいはなかったんです、有名な先生のお墨付きだからとって大量のニーズの裏づけにはならなかったんですね。それが「売り出してから」わかったのでは遅いんです。この商品の「ニーズはある」と言ってくれる人の存在は商品開発の第一歩ですが、そうした人が何人かいたとしても、その他に、どれぐらいの数のニーズが、どの辺に存在していそうかを解らないで、ものを作るのはリスキーなのです。しかし、そのリスクを犯している例はなにも中小企業だけではなく、大手企業にも枚挙に暇がないほど多いんです。
 そこでまずニーズがあったら、そのニーズを持つ(持ちそうな)人や企業が、目の前の人以外にどのくらいいるのかを調べるというのを是非やってもらいたい。そのときに、いつも「どうやって調べたらいいんですか?」と聞かれるんですが、実はお金をあまり掛けずに市場調査をする方法はいくらでもあるんですね。
 その方法の前にちょっと市場調査をしないとどうなるかの事例をもうひとつさせてください。東京都の多摩に、大田区みたいにもの造りをする人たちが集束してるエリアがあるんです。通産省の「中小もの造り支援」のセミナーに私が参加してまして集中相談会を受けた時に出てきた問題で、実は他のところでもよく出てくる問題なんですが、「ニーズはあって、機能としても既存の商品の倍の効果がある。しかしコストも4倍かかるので4倍の値段にしなくてはいけないが、そうすると全く売れないがどうしたらいいでしょう?」というものですね。商品を作る前にそういう相談をしてくれたら、市場と値段とのギャップに気づいたんでしょうが・・・・。もう一個は技術系の会社に多いのですが「こんな基礎技術が出来ちゃった。どうやったら商品にしてもらえるでしょうか?」というものですね。実はこれが一番多い。
 ここから話を調査の方に進めて見ますと、まずは聞き方が大事です。“どうしたらいいでしょうか・・”と相手に考えを丸投げするのではなく、相手が答えやすいように自分であらかじめいくつかの仮説を作っておいて、その仮説に対する意見を聞くんです。つまり、売り込む先に「あなたのとこだったら、これを***のようにこういう具合に使えませんか?」「これをこう使えば、あなたのお客さんがこういう風に喜びませんか?」といった、最終型の仮説を提案することです。それも一個ではなく、極端に違うオプションで三つくらい仮説を作っていく。これがポイントです。「この中のどれがあなたの会社にとって良さそうですか?」という選択肢で持っていくことも大切です。
 次のポイントは自分の足で、こういう相手先を何社か回って調査することで、ここで重要なのは、先方に出向く時には、営業担当と開発担当の方の二人がペアで回る。開発担当者とお客さんとの間には、通訳が必要ですし、営業担当者では深い話が出来ない。
 この方法でだいたい20社ぐらい行くと、この辺のニーズがあるかないかが、見えてきます。自分で聞きにゆくとダイレクトな感触、言葉の背後にある真意も読めてきますね。早いタイミングで、ニーズがないならないと解ることが大事なんですね。こんなニーズはありえないんだと解れば、さっさと諦めて、次のものに自分たちの資源を投入できるんです。一日3社くらい、10日もあれば20社を回ることは出来るはずなんですが、これをしてない企業が実はすごく多い。20社は回ってるが、先ほどのような聞き方はしていないとか、この方法のどれかが欠けているんです。実はこれも初期段階における大事な市場調査なんです。
 次に重要なのはこうした調査をするときに業界のマップを作ることです。さきほど20社回るといいましたが、闇雲にまわるのではなく、いろんな種類の20社、新物好きの3社とか、商品がエンドユーザーよりの会社5社とかのマップです。自分がよく知ってる業界ならわざわざ作らなくてもよいでしょうが、こうした調査はしらない業界だから必要な場合が多いはずですね。私の場合は、知らない業界でマップを作るときに、最初はその業界通の人、3人に聞きます。まず業界の重鎮ぽい人を訪ね、次にその人に「業界で一番信頼できる人」と「一番意見の合わない人」を彼から紹介してもらうんです。それらの人に訪問する会社をまたさらに紹介してもらいます。これによってバランスの取れた20社の業界マップが出来るわけです。
 普通の市場調査は200社くらいを対象としますが、20社なら10日ほどで済むわけですから、時間的にも資源の限られている中小企業でも可能ですよね。それが初めて入っていく業界だったにしても、いまお話した方法を確実にこなせば、十分にバランスのある市場調査が出来るわけです。コストを考えても、人件費と交通費くらいですから、何百万円(または何千万円)もかける必要はないんです。もっとお金を掛けない調査もいろいろあります。今の時代ですと、インターネットを使って2次情報、紙になってる情報のことですが、を探せば、かなりのボリュウムのデータが手に入ります。ご存知と思いますが、「グーグル」というサイトがありまして、知りたいことのキーワードを入れると、関連情報が山のように出てきます。調査などのデータが欲しい時は、この「グーグル」というサイトが一番使いやすいと思います。無料で手に入るインターネット情報で、どんな業界かを少し調べてから、あとは自分の足を使って20社を行脚する。これが良いと思います。
 もう一つ「コンジョイント分析」というのも今日はお伝えしておこうと思います。新しい商品とかサービスを世に出そうと思った時、悩ましいのは、これぐらいの商品機能で、こんな価格で、こんなパッケージでといった、「組み合わせ」ですね。商品機能、価格などを単独で調査することはあまりありません。商品スペックをA、B、Cに分け、価格も500円、800円、1000円という具合に分け、どの組み合わせが一番お客さんに受けがいいかを調べる調査手法がありまして、それを「コンジョイント分析」と呼んでいます。この調査を知らないかたは多いんですが、組み合わせ悩んだ時はこの調査をお願いしてみたらいいですね。
 どのくらい大きい市場か、そもそもニーズがあるか、組み合わせはどうかという調査手法のご説明まできましたね。最後で良く引っかかるのが、お客さんの使い勝手です。特に商品ものの場合は、「ユーザビリティチェック」というのをして欲しいんです。その商品がどのくらい使い勝手が良いのかといったところも是非注意してください。

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