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イベント

2003年 第15回ナレッジランチ

何も変えない「企業再生」
 そこまできますと、その2割の人間に対し,極論で言えば、全員に会社を創って上げるくらいの出口を提供していきます。彼らは自分のやりたいということを必ず持っています。このやりたいと言うことに、僕は資金的にも精神的にもバックアップし、全ての面において徹底的にフォローしていきます。一つの企業が成長していくのに、必ず中にいる人の目的意識は違ってきますから、その目的にあった事業をどんどんやらしてあげる。アメリカで連結経営になってくるというのは当たり前の話なんですね。
 「戦略なんて毎日変わっていいし、戦術だって風向きによって変わる」と僕は言います。不変であるべきものは「社会の為になる事業だけをやっていこう。お金儲けは二番目に持っていこう」という理念とか信念であって、それ以外は「どうぞ自由にやってください。その代わり自分で責任を持ちなさい。うちは平等意識ではない」と言っています。
 僕はどの会社やっても、経営理念としては「not=bat fair」です。お客さんにも人事評価もフェアにいこうということです。世の中一生懸命やっている人がやれない状況にいて、適当にやって給料貰えればいいやという人と3年たって同じ地位だったら、人は伸びないですよね。
 そこを徹底的にやっていきます。そして最後にその実績に対し、徹底した不平等、かつ公平な人事評価をしていくんです。僕のやっている会社なんて、一番多いところで人数にすれば200人足らずです。「200人の給料なんかは社長が決めるよ」と僕は言っています。「根拠を教えてください」と言ってきますが、「それが気に入らなければ辞めてください。世の中700万も会社があるんです。なんなら世話してあげますよ」と言いますね。4Aとか4Bとか虫歯の検査みたいな人事評価を決め、昔の労働者の賃金に当てはめるにはおかしい。営業30年なのでそろそろ取締役とか、評価が1点足りないから監査役止まりとか言ってるのも変です。僕はそれを『ご苦労さん取締役』とか『残念監査役』と呼んでるんですよ。偉くなっていく過程が取締役になっているからいけないんです。
 このへんを徹底的にやっていきますと、極論言いますと、どんなものを売っていようが、どんなに高い価格だろうが、世の中の為になっている商品を扱ってさえいれば、会社は必ず再生します。
 「これから手数料を上げる」と「K社」でも言っていますが、手数料を下げるということは、自分の商売に自信がないことの裏返しなんです。価格競争に入っていったら、最後はただにするしかありません。手数料を上げても、お客さんに「うちはこの手数料でやっています」と面と向かって言える、そういう証券会社にしようとしているんです。「10年、20年と証券会社でやってきて諦めている部分あるでしょう。本当は証券会社としてこうあるべきだ、おれは証券マンとしてこうありたいという姿も持っていたんじゃないですか。それを今から全部表に出していきましょう。それを一つずつ全部達成していこう。そうすれば来年にはこの会社、絶対黒字になっている」と言いました。
 僕はこの会社の名前も変えるつもりはありません。何も変えません。不動産に例えれば、全部壊して更地にして新しいビルを建てるような「企業再生」だったら、生意気かもしれませんが、そのへんの人でもできる。僕は僕にしか出来ない「企業再生」をするんです。それは躯体と基礎を残して新しいビルを造り上げることです。躯体は文化で基礎は歴史であって、この会社の130年の文化と歴史を全て守ったまま、21世紀に耐えうる企業体を創っていく。ここに本物のインテリジェンスがあるんです。
 これからお金儲けはしていくけれど、儲けたお金はちゃんと事業に還元していこうと思っています。お金を儲けるということに関しては、僕より上手い経営者も会社も世の中にたくさんいます。でも儲けたお金をどれだけきれいに遣うかというところに、本物のインテリジェンスがあるのではないかと思います。
 僕が「モーニングスター」にしても、株をたくさん持たして頂いても売らない理由はそこにあります。この言葉を言うが為に、僕は株を売っていないんだと思います。「モーニングスター」の株を売って、10億20億をジャブジャブ遣いながら、余興でこんなこと言っていたら「おまえだって株売ってるじゃないか。他人のこと言うなよ」と必ず言われるはずなんで、あくまでも僕にとってのパスポートはそこにあるんです。
 10年経ち20年経ち、本当に僕らのやっているビジネスが一つの仕組みとして日本の経済の中で完成した時、初めて僕は全ての株を売却し、その時残ったコアのメンバーでそれを分けて、後は「本物のインテリジェンスとして金の遣い方をみんなで考えていこうね」と言いながら、終わりにしようと思っています。完全に後進に道を譲ろうということです。こういった企業体を創っていこうと考えています。
 その為に今回札幌でこうした時間をいただいて、ぜひ皆さんにもご協力させていただきたいですし、ぜひ皆さんもこういった企業体をどんどんネットワークとして創っていくことにご協力いただきたいのです。特に札幌、北海道というところはベンチャー精神の強いところだと思います。地方に行くとその土地の訛りに驚くんですが、札幌にはそれがないですね。これもいろんな土地の人々が札幌に入ってきているからだと思います。ぜひこの札幌を、新しい日本経済の新しいベンチャー企業の発生する街にして欲しいと思います。
 みんなで良い社会を創っていき、そしてあるべき姿を求めてやっていくということが、本当の意味での企業家の究極の幸せなのではないかと思います。たいへん若輩で恐縮なんですが、今日はそれを皆さんにお伝え出来ればと思い、お話させていただきました。どうもありがとうございました。

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